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自律神経失調症(機能性身体症候群)

自律神経失調症とは?

私たちの体は、いつも快適な毎日をおくれるように、意識することなく自動的に調整してくれている自律神経というものがあります。
この神経の調子が悪くなって、医学検査を行っても特に原因がなく、また内臓等に病変がないにもかかわらず、様々な体の不調が現れる状態を自律神経失調症といいます。

とはいっても、自律神経失調症は、医学的な正式名称ではなく、最近では機能性身体症候群:FSS(functional somatic syndromes)といった呼称が用いられるようになってきています。

日本で自律神経失調症と診断された人は約65万人おり、潜在的な患者数はその10倍の約650万人、日本人の約5%以上はいると考えられています。

自律神経失調症を患い、悩まれている方、少しでも、不定愁訴が改善できればと思われている方もいらっしゃると思います。

実は、当院でも、自律神経失調症に対して対応できる部分があるのを、ご存知でしょうか?実際に、当院では、自律神経失調症の施術も行っており、今回は、どこまでの対応、そして改善ができるのか?をお伝えしたいと思います。

当院の治療のポイントは、自律神経系の機能改善

自律神経失調症は、大きく分けて4つに分類することができます。

本態性自律神経失調症
生まれつきの体質によって自律神経のバランスが乱れやすく、外的要因・ストレスなどが原因ではないもの。

神経症型自律神経失調症
不安感など心理的要因で自律神経機能に異常をきたし、さまざまな症状を訴えるもの

心身症的自律神経失調症
対人関係などストレスが蓄積することで器質的要因なく自律神経症状を訴えるもの

抑うつ型自律神経失調症
自律神経失調が経過した後、うつ病様症状に発展したもの。

自律神経失調症の原因は、ストレス環境による自律神経系の異常で、ストレスも、対人ストレスや睡眠障害、内臓関連の障害による既往、生活環境の変化、気候の変動など、様々な原因があります。これらのストレスを受けることによって、自律神経の機能不全が起こり、「頭痛、疲労感、息切れ、痺れ感」などの不定愁訴があらわれます。

4つの分類のうち、抑うつ型自律神経失調症は、服薬管理が非常に重要になり、服薬を止めることで症状が悪化する場合がある為、当院が治療を介入するには、医療機関での診断や判断が必要になります。

また、他の分類に関しても、心理的問題は、当院ではなかなか介入できないものであり、この部分は、カウンセリングが必要になります。しかし、施術を行う中、日頃の悩みなどをお話されることで、気持ち的に楽になられたという方もたくさんおられます。

当院が介入できる部分といえば、自律神経系の乱れによる、筋緊張に対してになります。徒手療法を行うことによって緊張をほぐしたり、ストレッチなどの運動療法により自律神経を賦活(活力を与える)させることが可能です。

自律神経の新しい考え方

自律神経には、興奮時に活発となる交感神経と、リラックスしている時に活発になる副交感神経の二つがあります。ほとんどの方が、自律神経は、シーソーのように交感神経系が働けば、副交感神経が抑制されるといった、On/Offの関係性であると思っている方も多いと思います。

しかし、現在は、米国ノースカロライナ大学の精神科医学部教授であるステファン・ポージェスが提唱された、ポリヴェーゲル理論というものが出てきており、交感神経と副交感神経である腹側迷走神経と背側迷走神経の3つの経路が状況に応じて、協調的に働き合うと言われるようになってきています。

ポリヴェーゲル理論での、ストレスによる自律神経の反応として、ストレスを受けると、まず初めに腹側迷走神経が働きます。この腹側迷走神経では、リラックスをすることで、このストレスを逃がそうとします。また、怒られた場合は、暗い表情や声を出したり、俯向き姿勢になり、反省している印象を与える行動を行い、ストレスから自分の身を守る行動をとります。

それでも、このストレスが回避できなくなると、次に交感神経が働き始め、攻撃的になったり、体が緊張したりします。他にも、その場から逃げようとする逃避反応も起こります。

通常だと、気分転換してリラックスをしたり、怒ってみたり愚痴を言ってみたり、お酒を飲んだりして、ストレスを逃がそうとするのですが、長期間に続くストレス、環境や性格などにより、ストレスを逃すようなことが出来ない状態に陥ると、背側迷走神経が働き、ストレスを受けないように心身に何もさせない、引きこもりの状態になります。

背側迷走神経は、ストレスから身を守るための最後の砦みたいなもので、背側迷走神経が働く前に、対処することが、重要になります。

それぞれの神経の働き

腹側迷走神経

副交感神経の一つで、ストレスを受けた際に、ゆっくりお茶を飲んだり、人とお話をしたりして、リラックスして、ストレスを緩和させるように働きます。
腹側迷走神経は、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、副神経の運動神経線維と関わりがあり、表情や、声帯にも影響を与えます。なので、怒られた時には、暗い表情や、暗い声にしたり、俯向き姿勢になったりして、反省している印象を相手に与え、ストレス状況下から身を守るような反応を引き起こし、社会にうまく適応していくための重要な神経経路になっています。

ストレスにより腹側迷走神経の機能低下が起きると、表情筋が硬くなったり、声が低くなったりします。なので、表情筋が、非常に硬くなっていると、腹側迷走神経も働きにくくなります。

交感神経

腹側迷走神経がストレスに対応できなくなってくると、交感神経が作用すると言われています。
交感神経が働くと、攻撃的になったり、体が緊張したり、その場がら逃げる反応(逃走反応)を引き起こすようになります。
交感神経が優位になると、筋緊張や血管収縮により痛みが生じやすくなります。すると、血行不良となり痛みの物質が発生し、痛みが発生します。元々、筋・筋膜由来の痛みがあった場合、さらに筋緊張が持続するので、痛みの慢性化の原因にもなります。
筋肉の緊張を緩めることで、交感神経系の抑制にもつながる為、筋肉の緊張や、疼痛除去を行うことで、ストレスの改善につながります。

背側迷走神経

副交感神経である背側迷走神経は、胃腸(下行結腸を除く)、所臓などの内臓を支配しており、ストレス下では、シャットダウン反応/抑うつ行動に関わる。

はじめは、腹側迷走神経や交感神経によってストレスから身を守るが、ストレスにさらされ続けると、腹側迷走神経・交感神経の機能不全がおこり、最後に副交感神経の背側迷走神経が働くようになる。
この背側迷走神経は最後の砦として、ストレスを受けないように心身に何もさせない、引きこもりの状態にさせるため、社会活動への参加を困難にさせるという問題を抱える場合があります。
また、胃腸や、肝臓などの内臓を支配しているため、内臓の不調も起こりやすくなります。
内臓に対してアプローチを行うことで背側迷走神経の活動を抑制することが期待でき、当院では箱灸などもおすすめしています。

まとめ

日常生活で大切なのは、ストレスをため込まずに、リラックスする環境を整えることが、重要です。筋肉を緩めることで、リラックス効果は得られるので、ストレス対策として利用していただきたいと思います。また、英国オックスフォード大学の生理学研究室の報告では、1分以内の短時間の心理的ストレスでは筋交感神経活動は反応を示さないが、1分以上の長時間の心理的ストレスでは筋交感神経活動が上昇したと報告されています。つまり、1分以上の持続ストレスは交感神経を興奮させやすいということになります。交換神経を緩めるのも、やはり筋肉を緩めることが最適なので、当院も、対応できる部分があるということになります。また、ストレスで内臓の不調や、引きこもりの状態になりやすい人に関しても、お腹周りの施術や、鍼灸施術で、背側迷走神経に対してアプローチすることが可能です。

自律神経失調症で悩まれている方も、ぜひご相談ください。



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