私たちの身体は、自然のリズムと深くつながっています。
東洋医学では古くから「時辰養生(じしんようじょう)」という考え方があり、1日24時間を2時間ずつに分け、それぞれの時間帯に「五臓六腑」が順番に活性化すると考えられています。
このリズムに沿って生活することで、健康の維持や不調の予防に役立つとされてきました。
最近では、西洋医学の分野でも「時間治療(クロノセラピー)」として注目されており、例えば肝臓が最も活性化する時間帯に抗がん剤を投与すると、通常の3倍の量でも肝臓へのダメージが少ない、という症例も報告されています。
このように「時間」と「内臓の働き」は、私たちの健康に大きな影響を与えているのです。
【五臓六腑と時間の関係】
東洋医学では、以下のように各臓器に対応する時間があるとされています:
時間帯 | 臓腑 | 主な働き |
---|---|---|
1~3時 | 肝 | 解毒、血の貯蔵、情緒の安定 |
3~5時 | 肺 | 呼吸、気の巡り |
5~7時 | 大腸 | 排泄 |
7~9時 | 胃 | 食べ物の消化 |
9~11時 | 脾 | 栄養の吸収・運搬 |
11~13時 | 心 | 血液循環、精神活動 |
13~15時 | 小腸 | 栄養の吸収 |
15~17時 | 膀胱 | 水分代謝、老廃物の排泄 |
17~19時 | 腎 | 生命力の貯蔵、精の管理 |
19~21時 | 心包 | 心の守護、精神安定 |
21~23時 | 三焦 | 気・水の調整 |
23~1時 | 胆 | 消化酵素の分泌、判断力 |
【今日から実践できる!時辰養生の3つの使い方】
① 胃の時間(7〜9時)に朝食をとる
朝の7〜9時は「胃」が最も活発に働く時間です。
この時間に朝食をとることで、食べ物がスムーズに消化され、9時からの「脾」の時間にしっかりと栄養を全身に巡らせることができます。
たとえば、消化の良い和食(お粥、味噌汁、温野菜など)を意識して摂ることで、午前中の集中力や体の軽さが変わってきます。
② 肝の時間(23〜3時)に深く眠る
23時から3時は「胆」と「肝」の時間。
この時間にしっかりと眠ることで、体内の解毒が進み、血の巡りや精神状態が整います。
遅くまでスマホやPCを見ていると肝の働きを邪魔してしまうので、できれば22時には布団に入り、23時には深い眠りに入れるように意識しましょう。
睡眠の質を上げるには、寝る前にお風呂でリラックスする、照明を暗めにするなどの工夫も有効です。
③ 運動は腎の時間(17〜19時)に
夕方の17〜19時は「腎」の時間。
腎は生命力の源であり、体のエネルギーやホルモンバランスを司っています。
この時間帯に軽めの運動(ストレッチ、ウォーキング、ゆったりとしたヨガなど)をすることで、腎を強め、疲労回復力や代謝を高めることができます。
激しい運動よりも、リズムよく気持ちよく動くことがポイントです。
施術時間に合わせた「おすすめ施術内容」
実は、この時辰養生は、整骨院でも活用できるのをご存じですか?
当院の施術時間に合わせて、この時間帯は、こういったケアがおすすめ!
というのを書いてみました。
🕘 9時〜11時|《脾》の時間
▶ おすすめ施術内容:全身のエネルギー循環調整、消化機能のケア、自律神経の安定
「朝からなんとなく体が重い」「胃腸の調子が不安定」「やる気が出ない」という方におすすめの時間帯です。
この時間は、体にエネルギーを巡らせる《脾》が最も活性化するタイミング。
施術を受けることで、栄養の吸収効率が高まり、気力・体力ともに回復しやすくなります。
🕚 11時〜13時|《心》の時間
▶ おすすめ施術内容:自律神経調整、ストレスケア、心のバランスを整える施術
「ストレスで眠れない」「気分が沈みやすい」「緊張しやすい」といった方にぴったりです。
《心》の時間帯は、精神活動や血流が盛んになるため、施術を通じて交感神経の過緊張をやさしく緩めるのに最適。
午後からの集中力や安定した気分での仕事・活動をサポートします。
🕓 16時〜17時|《膀胱》の時間
▶ おすすめ施術内容:背中・腰のマッサージ、疲労物質の排出、むくみ改善
「背中や腰が重い」「足がむくみやすい」「一日座りっぱなしで疲れがたまっている」そんな方におすすめです。
膀胱経は背中を通るため、この時間にマッサージや整体を受けると、老廃物が流れやすくなり、代謝もアップします。
仕事帰りのリフレッシュにぴったりの時間帯です。
🕔 17時〜19時|《腎》の時間
▶ おすすめ施術内容:全身の調整、疲労回復、ホルモンバランスの乱れに対する施術
「最近疲れが取れない」「寝ても疲れが残る」という方にピッタリな時間帯です。
この時間帯は、体のエネルギー源である《腎》が活性化する時間。
深いリカバリーやホルモンバランスの調整に適しており、定期的なメンテナンスにもおすすめです。
🕖 19時〜20時|《心包》の時間
▶ おすすめ施術内容:ストレス緩和、深いリラックス、不眠対策のケア
「寝つきが悪い」「イライラが続く」「心が落ち着かない」そんな方には、この時間帯が最適。
《心包》は心の守り役。この時間にリラックス系の施術を受けると、副交感神経が優位になり、深い安らぎが得られます。
そのまま心地よく眠れる方も多い時間です。
【まとめ】
「時辰養生」は、東洋医学の知恵と現代の生活をつなぐ、とても実用的な健康法です。
身体が持つ本来のリズムを意識して、食事・睡眠・運動のタイミングを整えるだけで、体調や気分が大きく変わってきます。
まずは1つ、自分に合った時間帯から生活に取り入れてみてください。
自然と調和した身体づくりを、今日からはじめていきましょう。
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