肩こりの原因として、よく名前が挙がる筋肉があります。
それが**僧帽筋(そうぼうきん)**です。
首から肩、背中の上部にかけて広く存在し、
「肩こりの筋肉」として知られていますが、
実はこの僧帽筋、解剖学的にとても特徴的な筋肉です。
僧帽筋は、思っている以上に「薄い」
教科書や図で見ると、僧帽筋は分厚くて力強い筋肉のように描かれています。
しかし、実際に解剖をすると、
僧帽筋は膜に近いほど薄く、広く覆う構造をしています。
この構造から分かるのは、
僧帽筋は「強く動かすための筋肉」ではなく、
首・肩・背中を面でつなぎ、姿勢や緊張を調整する筋肉だということです。
僧帽筋がうっ血しやすい理由
僧帽筋が肩こりと深く関係する理由のひとつに、
血管構造の特徴があります。
通常、静脈には
血液が一方向に流れるようにする静脈弁があります。
しかし、
僧帽筋の上を走る静脈には、この静脈弁がほとんど存在しません。
そのため、
- 血液が重力に逆らいにくい
- 滞留しやすい
- うっ血が起こりやすい
という構造になっています。
つまり僧帽筋は、
もともと循環不良を起こしやすい筋肉なのです。
ストレスと肩こりの深い関係
心理的ストレスを感じると、
人は無意識に肩をすくめたり、首や肩に力を入れます。
これは、
- 交感神経が優位になる
- 僧帽筋の緊張が高まる
- 血管が収縮する
という反応が起こるためです。
僧帽筋は静脈弁がないため、
筋緊張が高まると、さらに血流が滞りやすくなります。
その結果、
- 重だるさ
- 張り
- 痛み
といった、いわゆる「肩こり」を感じやすくなります。
目の使いすぎも肩こりを助長する
スマホやパソコンなど、
ディスプレイを長時間見る生活も肩こりの大きな要因です。
目を使い続けることで、
- 脳が興奮状態になる
- 交感神経が優位になる
- 筋緊張が高まる
という流れが生じます。
交感神経が優位になると血管は収縮し、
筋肉への血流が低下します。
また、内臓の働きも抑制されるため、
内臓体性反射や神経反射によって、首や肩の筋緊張が高まる
という影響も考えられます。
上位交差症候群と僧帽筋
肩こりと深く関係する姿勢の問題として、
上位交差症候群があります。
これは、
- 頭が前に出る
- 背中が丸くなる
- いわゆる猫背姿勢
の状態を指します。
この姿勢では、
- 緊張しやすい筋肉
- 弱くなりやすい筋肉
が混在するマッスルインバランスが生じます。
その結果、
- 頸胸椎移行部にストレスが集中
- 僧帽筋が常に働き続ける
- 血流不良とうっ血が起こる
という悪循環に陥ります。
肩こりは「僧帽筋が悪い」のではない
ここで大切なのは、
僧帽筋そのものが悪者ではないということです。
僧帽筋は、
- 姿勢
- 呼吸
- 目の使い方
- ストレス
- 自律神経
これらの影響を、
**一番外側で受け止めている“結果の筋肉”**です。
だからこそ、
- 揉んでもすぐ戻る
- 一時的に楽になっても再発する
ということが起こります。
肩こり改善に本当に必要なこと
肩こりを根本から改善するためには、
- 姿勢を整える
- 呼吸を深くする
- 目と脳を休ませる
- 交感神経の興奮を抑える
- 生活習慣を見直す
といった、
身体全体を整える視点が欠かせません。
僧帽筋は、その状態を教えてくれる
身体からのサインなのです。
たいようブログ的まとめ
肩こりは
「筋肉が硬いから起こる」のではなく、
身体の使い方や緊張の積み重ねが、僧帽筋に現れている状態。
だからこそ、
当院では「肩だけ」を診るのではなく、
身体全体を整えることを大切にしています。


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