「肩が痛いから肩が悪い」
「腰が痛いから腰に原因がある」
私たちはつい、痛みが出ている場所そのものに原因があると考えがちです。
しかし実際には、そこだけが原因とは限りません。
体の不調の背景には、筋肉と筋膜のつながりが深く関係しています。
痛みが起こる2つのパターン
体の痛みや不調には、主に次の2つのパターンがあります。
① 痛む部位そのものの筋肉・筋膜が癒着している
これは比較的イメージしやすい状態です。
筋肉は、筋膜という薄い膜に包まれています。
この筋膜が周囲の筋膜や骨などとくっついてしまうことを**「癒着」**といいます。
癒着が起こると、
- 筋肉の動きが制限される
- 血流が悪くなる
- 筋肉がこり固まる
その結果、痛みや違和感として表れてきます。
② 痛む部位と「つながる別の場所」の筋肉・筋膜が癒着している
実は、こちらのケースのほうがとても多いです。
筋肉は、単独でバラバラに働いているわけではありません。
**筋膜を介して、いくつもの筋肉が連なり、一本の「ライン」**として機能しています。
筋肉は「点」ではなく「線」でつながっている
すべての筋肉は、外側を筋膜で覆われています。
この筋膜は、筋肉を守るだけでなく、筋肉と筋肉をつなぐ役割も担っています。
たとえば、
首を基点に肩甲骨へ広がる僧帽筋は、
筋膜を通じて
- 腕の後ろ側(上腕三頭筋)
- さらに小指側の筋肉
へとつながっています。
さらにそのラインは、
- 背中
- ふくらはぎ(下腿三頭筋)
- 足先
にまで連続しています。
このような筋膜のラインが、体の中にはいくつも存在しています。
筋肉=駅、筋膜=線路
ここで少し、イメージしやすい例えをしてみましょう。
- 筋肉 → 駅
- 筋膜 → 線路
駅が線路でつながっているように、
筋肉も筋膜という「線路」で全身がつながっています。
たとえば、手を「グー・パー」と動かすとき。
主に動いているのは指や前腕の筋肉ですが、
実は肩まで含めたライン全体が微妙に伸び縮みすることで、スムーズな動きが生まれています。
実際に感じてみましょう
ぜひ一度、試してみてください。
- 片方の腕を伸ばします
- 反対の手で、伸ばした腕の二の腕を軽くつかみます
- そのまま、手のひらを
・天井に向ける
・地面に向ける
と回転させてみてください
回転するたびに、
二の腕の筋肉がピクピクと動くのを感じられると思います。
これは、肩から手までのライン全体が連動している証拠です。
「引っかかり」があるとどうなるか
もし、このラインの途中で
筋肉や筋膜が癒着し、「引っかかり」が起きていたらどうでしょうか。
- 動きがスムーズでなくなる
- 余計な力を使って動かすことになる
- 疲労がたまりやすくなる
そして、さらに
- こり
- 新たな癒着
が生まれていきます。
癒着・こり・滑走不全とは?
- 癒着
筋肉を包む筋膜が、他の筋膜や骨などと結合してしまうこと - こり
筋肉の血流が悪化し、固まって伸縮性を失っている状態 - 滑走不全
本来スムーズに動くはずの筋肉や筋膜が、引っかかって動きにくくなった状態
滑走不全が進むと、
- 関節の可動域が狭くなる
- 無理な動きが増える
- 筋肉や関節を傷めやすくなる
結果として、痛みが現れます。
食パンの例えで考えると…
柔らかい生の食パンは、引っ張ってもなかなかちぎれません。
しかし、焼いて固くなると、簡単にちぎれてしまいますよね。
筋肉も同じです。
こりや癒着で固くなった筋肉は、
本来よりも傷つきやすい状態になっています。
つまり、
滑走不全 → こり → 痛み
という連鎖が起こりやすくなってしまうのです。
線路に不具合が起きると…
先ほどの「駅と線路」の例えに戻ると、
- 線路に不具合が起きる(癒着)
- 電車が遅れる・止まる(滑走不全)
- 駅が混雑する(こり・痛み)
さらに、その路線すべて、
場合によっては乗り入れしている他の路線にまで影響が出ます。
筋膜も同じです。
どこか一か所で癒着が起これば、
同じライン上の筋肉・筋膜すべてに影響が及びます。
筋膜のつながりを体系化した考え方
全身に張り巡らされた筋膜のつながりを、
体系的に示した理論があります。
それが、アメリカのボディワーカー
トーマス・W・マイヤーズ氏が提唱した
アナトミー・トレイン
という考え方です。
この理論では、
体は筋膜を介して、いくつもの「ライン(経路)」として機能していると考えます。
この視点が広まったことで、
- 肩の痛みの原因が腰や脚にある
- 腰痛の原因が足や背中にある
といったことが、理解されるようになりました。
層・線・面として連動する体
筋肉や筋膜は、
- 層となり
- 線となり
- 面となって
全身で連動しています。
その一部に癒着が生じるだけで、
体全体の動きが乱れてしまうのです。
だからこそ「整える」視点が大切
ただ伸ばす。
ただ動かす。
それだけでは、なかなか変化を感じにくいこともあります。
癒着をほどき、本来のつながりを回復させる
という視点を取り入れることで、
短時間でも体の変化を実感しやすくなります。
当院の施術の考え方
当院では、
- 局所施術
- 部分施術
- 全体施術
と、患者様の目的に合わせた施術メニューをご用意しています。
しかし、しっかりと体を整えていくためには、
- 筋膜の癒着
- 部分だけでなく全体のバランス
この両方を考えることが欠かせません。
まとめ
痛みのある場所だけを見るのではなく、
その痛みが「どこから来ているのか」
体全体のつながりから考える。
それが、根本的な改善への近道です。
一緒に、
しっかりと
整えていきましょう。


コメント